会社概要

業種製造業
本社住所東京都品川区小山5丁目1番1号
従業員規模153名
公式ウェブサイトhttp://www.mitsuba-ss.co.jp/

テレワークの概要

導入目的新型コロナウィルス感染症対策
実施内容在宅勤務
対象人数約70名
実施人数25名
開始時期2021年2月

実施環境

  • UTM/次世代ファイアウォール:FortiGateの導入:VPN接続により自宅や出張先などで以下のような業務を可能としています。
    • 社内の個人PCへのリモート接続による在宅勤務
    • 社内のサーバーへのリモート接続による出張先業務の円滑化
    • 東京本社からのネットワーク接続による情報共有
    • 社外協力者(生産管理システム)のサーバーへの限定的アクセス
  • Web会議ツール:Teams・Zoomなどの導入:在社にて以下のような業務を可能としており、上記FortiGateとの組み合わせで社外でも同様の業務が可能となります。
    • 顧客や仕入先との打ち合わせ
    • 外部セミナーへの参加
    • Web面接を利用した採用活動
  • 通信手段としては、社員自宅のWI-FI環境をお借りするか、社用スマートフォンを貸与し、テザリングを使用しています。

テレワーク導入の経緯

三葉製作所は産業用機械の設計・開発、部品製造、完成品組立を上田工場において一貫生産で行っています。主な組織は、営業、資材調達、設計部門、製造・組立部門および間接部門であり、基本的にテレワークには馴染まない業態であると考えていました。

また、社員のほとんどは自動車通勤であり、通勤時の感染リスクは比較的軽微であることから、職場内での感染防止策に最大限注力する方針を打ち出しておりました。

当社でも、健康状態に問題ないにも関わらず、職場を長期間離脱しなければならない社員が同時期に続出し、業務遂行に支障が生じました。健康に問題がなく、就業意欲も高い社員に活躍してもらう上で、在宅勤務は絶好の手段と考えるに至り、2021年2月より、当社でも在宅勤務を導入することと致しました。

導入した制度・規定

当社の場合、モノを加工したり、機械を組立てる工程をリモート化することは事実上不可能であり、技術的に在宅対応可能である部門、業務から試験的に在宅勤務を開始しました。具体的には営業部門、設計部門、間接部門です。

ハード面の準備としては、在宅用のノートパソコン、携帯電話の手配、会社のメインサーバーへのリモートアクセス環境の整備などが必要となりました。

ソフト面では在宅勤務を前提とした「就業規則」の見直しと、それだけではカバーできないルールを「在宅勤務規程」として新たに制定しました。この規定では、在宅勤務対象者の資格、情報セキュリティ、労務管理上のルールなどを定めました。

現状・今、導入の効果

現在、新型コロナの感染状況も落ち着いており、感染症に伴う自宅待機対応の在宅勤務は殆ど実施されていません。

一方で、遠隔地より単身赴任していた営業部員を正式に在宅勤務扱いとしたり、一部シニア雇用者に対し「出勤3日、在宅2日」といった変則的な勤務体系を適用するといったことが可能となりました。人手不足の中、シニア雇用の重要性が増大していますが、今後在宅勤務がシニア層の雇用維持に有効に機能することが期待されます。

これから・未来像

これまで感染症対策の緊急避難的な役割を担っていた本制度ですが、今後は働き方改革を推進する積極的な役割を担うことになるかと思います。一方で、正式な人事制度に組み込んでいく上では、ハード、ソフト面での課題が多く残っています。多くの課題解決に当たっては、自社独自で対応するには限界があり、企業間、行政機関、経済団体との協働が不可欠と考えます。

難しかった点・苦労した点・解決策等

当社の設計業務は3DCAD、電気CADを使用して行っています。ノートパソコンの小さな画面ではCADによる設計への対応は難しいため、大きなモニターを貸与しましたが、数に限りがあり、追加的な手配が必要となりました。

また、リモートでCADを使用するためには、PCで会社のサーバーに直接アクセスする「リモート・デスクトップ」を利用しています。

労務管理の面では、在宅勤務者の勤務実態を上席がモニタリングすることは困難です。業務報告、始業、就業時の報告、時間外勤務の承認申請など、就業規則や在宅勤務規程で義務付けてはいるものの、実態は分からないため、社員を信用するしかありません。当社ではリスクを最小化するため、在宅勤務を認める社員を「在宅勤務規程」において制限しています。

その他、当社の場合、在宅が可能な業務と、不可能な業務がはっきりと分かれているため、社員間で不公平感が生じており、社員の理解を深める必要があります。

会社・担当者としての感想

新型コロナ対策としてやむなく導入したリモート、在宅勤務ですが、今後は人材確保やダイバーシティ経営のためのツールとして重要な役割を担うものとして期待しています。その一方で、導入に伴うリスクについても十分な検討を対策が必要と考えます。対応には相応の資金負担が伴いますが、補助金などの制度を有効に活用したいと考えます。

従業員の声・感想

濃厚接触者となることで自宅待機を余儀なくされた社員からは、納期が迫り、他者に任せられない仕事を完遂することができるという意味で、大変助かるとの意見が届いています。

 

メッセージ・伝えたいこと

当社においてテレワーク、在宅勤務を導入する上で、システムの構築やハード面のコストなどの課題は比較的容易に解決できました。

現在、課題として重く捉えているのは、在宅勤務者の管理、評価、処遇などの人事問題や情報管理などの問題です。勤務実態、残業実績、成果評価、プロセス評価、業務遂行上の経費の取り扱いなど、現在でも試行錯誤で対応しています。情報管理などのリスク管理も、社員との信頼関係で対処しており、十分な監視ができているとは言えない状態です。

コロナ禍においてやむなく見切り発車した本制度ですが、運用の方向性、リスクマネジメントなど広範におよび、課題は山積と言えます。今後導入を予定される場合は、リスクへの対応を十分検討されることをお奨めします。